殺し屋の営業術/野宮有【感想・レビュー】ネタバレなし
野宮有 著 / 講談社
トップ営業マンが、殺し屋の世界に足を踏み入れた。この一行だけで、続きが気になりませんか?今日ご紹介するのは野宮有先生の『殺し屋の営業術』です。
江戸川乱歩賞を受賞し、2026年の本屋大賞にもノミネートされた、いま大きな注目を集めている一冊です。ネタバレなしでご紹介しますので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
📖 殺し屋の営業術の基本情報・あらすじ
【受賞歴】
第71回江戸川乱歩賞受賞作/2026年本屋大賞ノミネート
【あらすじ】
主人公の鳥井は、一般社会で売上の成績で一位を取り続けてきたトップ営業マンです。けれども営業がうまくいけばいくほど、どこか満たされない。そんな鳥井はあるきっかけから、殺し屋たちの世界に足を踏み入れていきます。
裏社会で信頼のない鳥井が、どうやって殺し屋たちの中で居場所を作っていくのか。一般社会で培った営業のノウハウを武器に、鳥井が裏社会を渡り歩いていく物語です。
🕶️ 鳥井というキャラクターから目が離せない
この作品のいちばんの読みどころは、なんといっても主人公の鳥井でしょう。読み進めるうちにこの男が何をやらかしてくれるのか、と目が離せなくなりました。
鳥井はトップセールスマンになるために必要なものとして空虚さをあげる人物です。鳥井は一位の営業成績を更新しても満たされません。その空虚さの正体が、裏社会に足を踏み入れることで少しずつ明らかになっていきます。困難な状況に追い込まれても、鳥井はその状況を面白がっている。鳥井は自分でも気づかないうちに、追い詰められる度に変わっていくんですよね。先にその変貌に気づいた周りの人間の方が戸惑うほどです。
ここで僕が唸ったのは、鳥井の力は裏社会でこそ発揮される、という構図です。一般社会には法律という縛りがあります。どんなに優秀な営業マンでも越えてはいけない一線が、法律として決められている。でも殺し屋の世界にはその縛りがありません。手枷を外された鳥井が本来の力を解き放っていく。その姿から目が離せなくなるんです。
🔥 追い詰められていくのに、なぜかワクワクする
物語が進むにつれて、鳥井の状況はどんどん厳しくなっていきます。普通なら絶体絶命と言っていい場面の連続です。
それなのに読んでいてワクワクが止まらないんですよね。なぜかというと、鳥井自身がその困難を楽しんでいるように見えるからです。そして鳥井はこの状況をどう覆していってくれるんだろう。そう思って読んでいると、鳥井の真価が発揮されるシーンが展開される。このピンチが見せ場になる感覚が続いてページをめくる手が止まりませんでした。
どこまで具体的に書くとこの面白さが伝わるか。迷うところではありますが、ここから先はぜひご自分の目で確かめてほしいです。鳥井がどこまでいくのか、それは読んでみてのお楽しみにしておきますね。
🔁 二度読むと、また面白い
一つお伝えしておきたいことがあります。この作品は二度読むと、また違う面白さがあるんです。
一度目は鳥井の勢いに引っ張られて一気に読んでしまいました。登場人物も多く物語の展開も速いので、勢いのまま駆け抜ける感じです。それでも、もちろん面白いんですよ?
ですが二度目に読むと、一度目には気づかなかったものが見えてきます。緻密に組まれた作戦の構図や鳥井が仕掛けた心理戦の内容も、じっくり味わえるんですよね。登場人物の関係も二度目のほうが頭に入っているので、より細部まで楽しめました。
二度読むのに耐えられるというのは、それだけこの作品がしっかり作り込まれている証拠だと思います。一度読んで面白く、二度読んでもまた面白いんです。凄いですよね!そういう一冊となっております。
🙋 殺し屋の営業術はこんな人におすすめ
江戸川乱歩賞と本屋大賞にノミネートということで、注目を集めている作品なのです。話題の一冊を読んでおきたい、という方にもおすすめです。
📝 殺し屋の営業術の感想まとめ
というわけで今日は、野宮有先生の『殺し屋の営業術』をご紹介させていただきました。
なんといっても鳥井というキャラクターの魅力に尽きる一冊です。空虚さを抱えた男が裏社会で本来の力を解き放っていく。その変貌から目が離せません。追い詰められるほど笑みを浮かべる鳥井という男を見て、僕はワクワクしていました。そんな不思議な読み心地をぜひ味わってみてください!
気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。
ではでは積読を消化した頃に、またゆるりとお会いできたら幸いです!

