ファイア・ドーム 上巻/辻村深月【感想・レビュー】ネタバレなし
辻村深月 著 / 2026年6月発売・小学館
人を疑うとき、自分の中で何が起きているか、考えたことはありますか?
この本を読んでいるあいだ、僕は登場人物の誰かをずっと疑っていました。疑う側に引きずり込まれるミステリーですよ!そして上巻を読み終えた今、その疑いがどこへ向かうのか、気になって仕方がありません。
今日ご紹介するのは、辻村深月先生の『ファイア・ドーム』上巻です。
📖『ファイア・ドーム』上巻の基本情報・あらすじ
『ファイア・ドーム』(上・下)辻村深月先生、小学館、2026年6月発売。『かがみの孤城』『傲慢と善良』も辻村深月先生の作品です。デビュー22周年記念作、約3年ぶりの長編、執筆開始から7年の年月を経てついに出版されました。
【あらすじ】
町である人が行方不明になります。事故なのか、事件なのか。確かなことが分からないからでしょうか。町に噂が広がっていく。誰が疑わしいのか、誰が嘘をついているのか。行方不明になった人物とその家族を、疑惑と噂が少しずつ追い詰めていきます。
もちろんネタバレなしでご紹介しますので、最後まで見ていってくださいね!
😨 気づけば、自分も疑う側にいた
読み始めてすぐ僕は、ある人物を怪しい、と疑っていました。ところがその予想、60ページほどであっさり崩れたんです。
じゃあ次はこの人か? いや、あの人か?
そうやって容疑者を乗り換えながら読み進めているうちに、ふと気づいたんですよね。確かな根拠もないのに、僕はずっと誰かを疑い続けている、と。ミステリーを読む姿勢としては当たり前ですよね。
でもこの作品のテーマは噂と疑惑です。登場人物たちが噂に振り回されていく物語を読みながら、読者である僕自身が、噂する側・疑う側の心理を体験させられている。この構造に気づいたとき、ちょっと寒気がしました。
😰「最後に会った人」が、こんなにも不利になる
読んでいて怖かったのが、行方不明になった人物と最後に会った人に、疑いと責任が集中していくところです。
考えてみれば、誰かと最後に会うことなんて、日常の中で誰にでも起こりえます。たまたま最後に会っただけで、こんなにも立場が不利になってしまうのか、と怖くもなりました。
疑われる側の苦しさ、弁解もさせてもらえない理不尽さ。そして変わっていく周囲の空気。このあたりの描写が本当に生々しくて、ページをめくる手が止まりませんでした。
🔄 序盤の印象が、180度ひっくり返った人物がいる
上巻でいちばん心を動かされたのは、ある人物の見え方が変わった瞬間です。
序盤、その人物をうるさくて怖い人だ、と僕は思っていました。正直なところ苦手なタイプです。
ところが上巻の終わりには、その印象が180度変わっていたんです。その人がどういう想いで動いていたのか、その心理を読んだとき、それまでの言動がぜんぶ違って見えてきました。
詳しくは書けませんが、人の見え方が反転する。この体験こそ、辻村作品の真骨頂だと僕は思っています。『傲慢と善良』でも『かがみの孤城』でも味わった、あの感覚。今作でもしっかり味わえましたよ!
🙋『ファイア・ドーム』上巻はこんな人におすすめ
📝『ファイア・ドーム』上巻の感想まとめ
というわけで今日は辻村深月先生の『ファイア・ドーム』上巻をご紹介しました。
そして上巻はとても気になる状態のまま終わります。……これは下巻も読むしかありませんよ!
下巻の感想は次回、改めてご紹介しますね。
ではでは積読を消化した頃に、またゆるりとお会いできたら幸いです!
