名探偵のままでいて/小西マサテル【感想・レビュー】ネタバレなし
小西マサテル 著 / 宝島社文庫
認知症の物語、と聞くと暗くて重い話を想像しませんか?
この本はその真逆でした。読み終わったあと、温かい気持ちだけが残る。そんなミステリーだったんです。
今日ご紹介するのは小西マサテル先生の『名探偵のままでいて』です。第21回『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作ですよ。
📖『名探偵のままでいて』基本情報・あらすじ
【あらすじ】
孫娘の視点で物語は綴られていきます。小学校の校長だった祖父は、レビー小体型認知症を患っていますが、周囲の支えを受けながら穏やかに暮らしています。でも、孫娘が持ち込む謎を前にすると、祖父はお決まりの言葉を孫娘に投げかけ名探偵になるんです。
安楽椅子探偵ものの本格ミステリーでありながら、やさしさと笑いに包まれた一冊。もちろんネタバレなしでご紹介していきますので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
🌈 小説には雰囲気があるんだと教えてくれる一冊
この本を読み進めている途中で感じたのは、小説には雰囲気があるんだな、ということでした。
認知症を扱った物語なので、読む前は少し身構えていたんです。でもページをめくると、そこに流れているのは登場人物たちのやさしい気持ちと、思わず笑ってしまうような台詞のやり取りだったんですよね。
暗くなりがちな認知症というテーマのはずなのに、読み進める手が重くならない。それどころか読み終わったあとには温かい気持ちだけが残る。この空気感そのものが、この作品の一番の魅力だと思いました。
🗝️ 誰が紡いだ言葉なのか、で物語の見え方が変わる
ミステリーとしての仕掛けにもなるほど、としっかり痺れました。
詳しくは書けないんですけど、この作品には、ある言葉の意味が終盤でまったく違って見えてくる瞬間があるんです。
謎解きをするときは事実を並べかえて考えることも重要です。でもそれ以上に誰の言葉だったのか、が分かることで、物語の世界の見え方が真逆に変わってしまうこともあるんだな、と読み終わった後そんなことを考えてしまいました。
🕊️『名探偵のままでいて』というタイトルは、家族の願い?
読み終わってタイトルの意味をずっと考えています。
『名探偵のままでいて』。それは祖父に謎を解き続けてほしいという意味だけじゃなく、認知症の進行がどうかゆっくりでありますように、という家族の願いそのものなんじゃないか、と僕は受け取りました。
謎を解いているあいだ、祖父は物語にあるような頼もしい名探偵になります。その時間が一日でも長く続いてほしい。孫娘の気持ちを想像すると、このやさしい物語の奥にある切実さが、じんわり伝わってくるような気がしたんですよね。
🙋 こんな人におすすめ
📝『名探偵のままでいて』の感想まとめ
というわけで今日は小西マサテル先生の『名探偵のままでいて』をご紹介させていただきました。
ミステリー歴の浅い僕でも聞いたことがあるような有名作品へのオマージュも散りばめられていて、ニヤリとする場面もきっと多いと思いますよ。
気になった方はぜひチェックしてみてくださいね!
ではでは積読を消化した頃に、またゆるりとお会いできたら幸いです!

